『健康のために食事に気を使ったり、サプリメントを摂ってみたりしたけどイマイチ効果を感じない……』

もしこのように思われている場合、お腹、つまり「腸」の健康状態を見直してみる必要がありそうです。何故なら、どんなに不調改善に有効だと言われている食事やサプリメントを摂りいれても、それらに含まれている栄養素がうまく吸収されなければ期待するほどの効果は得られないからです。この吸収力とは、言い換えれば「腸の力」です。

近頃は空前の「腸活」ブームです。腸の健康に良いといわれるモノやコトの情報がたくさんあふれています。それは素晴らしいことですが、ともすれば情報の迷子になりがちに。腸の健康管理をするうえで、自分は何を何のために行っているのか把握しておきたいですよね。

腸の健康管理 3つのポイント

私たちが食べたものは胃で消化され栄養として腸で吸収されます。栄養の吸収を担うのが腸です。ですから、健康的な食生活と腸の健康状態は密接にかかわっています。でも腸の健康状態って一口で言うけど、一体どういうことなの?どのように健康を保つの?
なんだか漠然として取り留めもないと思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、腸活で押さえたい3つのポイントを整理します。

腸の健康を考えるときは大きく分けて、

・腸内フローラ(腸内細菌叢)
・腸の絨毛(腸壁)
・腸の蠕動運動

と考えることができます。
この3つの切り口から腸の健康状態について考えると腸活のポイントが掴みやすくなります。

腸内フローラ(腸内細菌叢)

腸の中には、1000兆以上の細菌が住み着いており、それらがまるでお花畑のように見えることから、腸内フローラと呼れます。いわゆる善玉菌、悪玉菌などと呼ばれる、腸内細菌叢ですね。これらの腸内細菌たちは人間が食べたものをエサにして、互いに競い合い、助け合いながら生きる「生態系」を作っています。健康な人の腸内細菌のバランスは、善玉菌20% ・悪玉菌10%・日和見菌70%という構成で、このバランスが崩れて悪玉菌優位な状態になると、様々な悪影響を及ぼすことになります。また、近年、小腸にまで悪玉菌が異常繁殖した状態のことを「SIBO(シーボ)」と呼び、栄養の吸収がままならないだけでなく、過敏性腸炎や食物不耐、便秘、うつ病、腹部膨満、免疫力低下など様々な不調を招く原因として考えられています。

腸の絨毛(腸壁)

腸の表面は絨毛というちょうどタオルの表面のような突起物に覆われています。この表面には粘膜がはりめぐらされていて、口から入ってきたモノが体にとって有益なのか有害なのかどうか、を判断しています。まさに、人間の自己防衛の最前線にあり、この膜があるために細菌やウィルスの侵入を防いでくれるのと同時に、胃で細かく分解された食物の中の栄養素を吸収できるわけです。しかし、未消化の食べカス、細菌やウィルス、化学薬品、抗生物質などが慢性的に接触することによって、この粘膜が損傷して炎症が起きると栄養素の吸収が難しくなると言われています。また、絨毛と絨毛の間は、通常は密接に結びついていますが、慢性的な炎症状態が続くと結びつきが緩んでしまい、そのすき間から異物が侵入する状況を作ってしまいます。この現象をLGS(リーキーガット症候群)と呼び、食物性アレルギーやリウマチなどの自己免疫疾患、うつや自閉症、認知症など精神疾患の元凶とも言われています。

腸の蠕動運動

蠕動運動とは、腸が伸びたり縮んだりを繰り返しながら栄養や水分を吸収したのち、不要なものを便として肛門へと運ぶ運動のことです。排便は最大の解毒行為となるため、蠕動運動が異常になると、栄養の吸収が滞るだけでなく、逆に不必要な有毒成分を吸収して体内に運んでしまったり、と健康に影響が出る場合もあります。代表的な症状として過敏性腸炎(IBS)が挙げられ、便秘型、下痢型、その中間タイプ、と3タイプに分けられます。この蠕動運動を司るのがセロトニンというホルモンです。ストレスや食事などの原因によって、このホルモンの分泌バランスが崩れることがスムーズな排便に支障をきたす原因の一つと考えられています。また、自律神経や女性ホルモンの影響を受けやすいのも特徴です。

まとめ

いかがでしょうか。漠然と「腸の健康」と考えたものがいくらか整理できたのではないでしょうか。繰り返しますが、腸は栄養の吸収の要です。いくら身体によいであろうと思って食べたり摂ったりしたものが、腸の健康状態があまり良くないがために、栄養の吸収が滞り結果的にその恩恵を受けられないとしたら、凄くもったいないです。

・腸内フローラ(腸内細菌叢)
・腸の絨毛(腸壁)
・腸の蠕動運動

もし冒頭のように、体に良いものを食べても効果を感じられないとしたら、これら3つの視点から腸の健康状態に着目してみてください。自分はどこが問題なんだろうと、主体的に体内環境に目を向けることが大切ですね。