お腹がすっきりしない、便をするときにイキむ、もう何日も出ていない……。
そんなお悩みを持つ方いませんか? 今や、「便秘大国ニッポン」などと言われ、便秘で悩む人は国内でなんと450万人もいます。たかが便秘と侮るなかれ! 便秘は万病の元と言われ、「死に至る可能性もある病」とさえ言われるのです。便秘の原因は様々で、食物繊維の不足や不規則な生活、無理なダイエット等でも起きるほか、女性の場合はホルモンバランスが影響してなるケースも多いです。
一般的に「3日以上排便がなく、便が出きらないような不快感(残便感)がある状態」を指していますが、ウンチが3日に1回なんて、遅すぎます。食べてから排泄されるまでの時間は、通常であれば24時間程度。つまり1日1回の排便が理想です。1日1回キレイなウンチが出ることは、健康のバロメーターなんです。
消活で目指す健康状態のゴールは、まずは「食べて出す」サイクルを滞りなく維持すること。そこで今回は、良い排便を促す「7種の神器」を一挙ご紹介! 本記事を参考に、スッキリ溜めない毎日を目指してください。
目次
便を理解しよう
便は、腸内環境を映し出す鏡と言われます。本題に入る前に、まずは便そのものを理解してみましょう。
便の構成物
便の80%を占めるのは水分です。そのため、スッキリ感のある排便に水分は欠かすことができません。残りの20%は、食事のカス、腸上皮細胞のカス、腸内細菌の死骸などが混じりあって形成されています。ウンチが大腸に長時間留まると、水分がどんどん吸収されていくので硬くなっていきます。硬くなると余計に腸内で動きにくくなり、どんどん溜まっていくという悪循環に陥ってしまいます。
良い便を作る、という意識を持つ
無理なダイエットをして便秘になるのは、そもそも、ウンチの材料が足りないから。それに加えて、慢性的な栄養不足になりエネルギー代謝が滞れば、疲れやすいカラダになり、スムーズな排便を促す筋力も衰えていきます。腸内環境を善玉菌優位に保つためにも、規則正しい食事が基本です。
また、健康な腸内は、善玉菌の代謝産物である酪酸や酢酸の働きで弱酸性に保たれています。したがって、健康な便ほど茶色や黄土色のバナナ状で、顔を近づけてもほとんど嫌な臭いがしないものです。反対に便秘の状態が続くと、腸内は悪玉菌が好むアルカリ性に傾いていき、黒褐色のカチコチ、コロコロ便で、悪玉菌がつくる硫化水素やアンモニアの悪臭がします。
「質の良い便」をつくるという意識で生活習慣を捉えてみてください。
良い排便を促す【7種の神器】
材料 | 役割 |
1)ビフィズス菌、乳酸菌 | 善玉菌を追加(プロバイオティクス) |
2)オリゴ糖 | 善玉菌のエサになる(プレバイオティクス) |
3)食物繊維(野菜、海藻) | 便のカサを増す 蠕動運動を促す 便の水分量を増やす |
4)運動 | 腸の動きを良くする 自律神経のバランスを整える |
5)リラックス | 腸の動きを良くする 副交感神経を優位にする |
6)水分 | 便を柔らかくする |
7)油 | 排泄をスムーズにする |
それでは順に解説していきます。
1)ビフィズス菌、乳酸菌
善玉菌を追加(プロバイオティクス)
一般的にプロバイオティクスと呼ばれ、腸内フローラを善玉菌優位に保つ働きがあります。その代表的なものが、乳酸菌とビフィズス菌です。大腸に送られてきた食べカスを発酵・分解してくれ、カラダにとって有益な物質も産生してくれます。便秘が続き腸に便が溜まっていると、悪玉菌を増やす温床になります。便秘が万病の元と言われるのも、この腸内環境の悪化により食べカスが腐敗し、毒素が作られ血管を通じて全身をめぐるようになるからです。良い排便を促すには、腸内環境が善玉菌優位であることが第一条件。ビフィズス菌や乳酸菌が豊富なヨーグルトや納豆、キムチといった発酵食品を意識して取り入れるようにしましょう。
2)オリゴ糖
善玉菌のエサになる(プレバイオティクス)
プレバイオティクスとは、腸内に生息する善玉菌の働きを助ける物質です。腸内で消化されにくいオリゴ糖や食物繊維などがその代表的なもので、善玉菌の大好物です。しっかり摂ることで腸内環境の改善につながります。大根やニンジン、山芋、サツマイモといった野菜類から、海藻類、きのこ類に多く含まれます。善玉菌そのものを摂るプロバイオティクスと、善玉菌のエサになるプレバイオティクスの両方をバランスよく摂ることで相乗効果が期待できます。
3)食物繊維(野菜、海藻)
便のカサを増やす/蠕動運動を促す/便の水分量を増やす
食物繊維は良い便の材料となり、腸の動きを良くして自然な排便を促すのに欠かせません。同時にプレバイオティクスとして善玉菌のエサにもなり、一挙両得の食材なのです。食物繊維には、水に溶けない性質の「不溶性食物繊維」と、水に溶ける性質の「水溶性食物繊維」とがあります。不溶性食物繊維はキャベツやホウレンソウなど比較的スジの多い野菜に含まれ、水分や老廃物を吸収し便のカサを増し、腸を刺激して蠕動運動を促します。水溶性食物繊維は、海藻類やモロヘイヤ、オクラなどのヌメリ成分に多く含まれ、便を柔らかくし動きをスムーズにする働きがあります。一口に食物繊維と言っても、便秘の時に不溶性食物繊維を摂りすぎると、逆に便秘が悪化する可能性があるため、それぞれの役割を理解し、両方をバランスよく摂る必要があります。
4)運動
腸の動きを良くする/自律神経のバランスを整える
運動不足で内臓を支えるインナーマッスルが衰えると、腸が圧迫されてしまいます。また、腹筋が弱まることで腸の位置が下がり、直腸や肛門の機能低下につながります。ウンチをスムーズに出すには筋肉も必要! まずは、正しい姿勢の維持を意識してインナーマッスルを刺激することからスタートしましょう。腹筋を鍛える運動やウォーキングなども腸の蠕動運動を活発にするため、効果的です。
5)リラックス
腸の動きを良くする/副交感神経を優位にする
ストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れ、交感神経の働きが高まった緊張状態になり、腸の動きが抑えられてしまいます。ストレスの軽減には、積極的にリラックスタイム(心身ともに休めるちょっとの時間)を作ったり、質の高い睡眠の確保など心掛けましょう。自律神経ケアについては、こちらの記事を参考にしてください。
6)水分
便を柔らかくする
便の硬さは、含まれている水分で決まります。1日に1.5~2ℓの水分を摂ると、便が適度にやわらかくなります。水分といっても、コーヒーやジュースはNG。冷たい水も飲みすぎると腸の働きを抑えてしまうので、白湯やお茶など温かい飲み物で補うのがベストです。また、下痢の時も適宜水分を補給することが大切。脱水症状を防ぐようにしましょう。
7)油
排泄をスムーズにする
カチコチで詰まりやすい便を解消するには、油不足にも注意しましょう。油分が腸を刺激したり、便のすべりをよくしたりすることで、排便されやすい状態をつくります。特にオリーブオイルは、主成分のオレイン酸が小腸で吸収されにくいため、腸の神経を刺激してぜん動運動を促進する作用があることが知られています。脂質は三大栄養素のひとつで、エネルギー源となり、細胞膜やホルモンの材料になります。油脂の取り方で、健康や若さに違いが出るといわれ、便秘解消のためだけでなく日ごろから良質な油を摂るように心がけましょう。
※参考:話題のヘルシーオイル。脂肪酸の種類と健康作用について
まとめ
以上をまとめると、3つの側面から便秘対策をすると考えることができます。1つ目は善玉菌を増やして腸内環境を良くすること、2つ目は腸自体の動き(蠕動運動)を良くすること、そして3つ目は便の状態(柔らかさ、滑らかさ)を良くすること、です。
大便は「大きなお便り」と書きます。つまり、カラダの状態を知らせてくれるメッセンジャーなんです。ですから、ウンチの状態は毎回かならずチェックするようにしてください。どんな形なのか色なのか臭いなのか、よく観察して、自分の腸内環境を判断してください。あれ? ちょっと具合が良くないかも? と思ったら、今回紹介した「7種の神器」を積極的に日常に取り入れて色々とチャレンジしてみてください。イメージ通りにツルっとバナナのような黄土色のウンチが出たときの爽快感はたまらないものがあります。便は健康のバロメーター。欠かせないセルフチェック習慣なのです。